段ボール包装材の試験規格について -落下試験-
包装材の落下試験は、輸送中の落下などによる衝撃が包装材に加えられた場合に、包装材が内容物を衝撃から守ることができるかどうかを確認するために行われる試験です。
JIS規格では、試験方法がJIS Z0202に、試験基準がJIS Z0200に記載されています。
ここではまとめて簡単に説明をしていきます。
包装材が落下した時に加わる衝撃の力は、包装材全体の重量(内容物含む)と落下する高さによって決まります。また落下したときにどの部分が地面に当たったかによっても内容物へのダメージが変わってきます。
包装材全体の重量は決まっており変わることはありませんので、落下試験では、①落下高さ、②落下部位、③落下回数 の3項目を定めてから行うことになります。
また、人力での荷扱い時の落下と、フォークリフト等の機械での荷扱い時の落下では落下高さや落下姿勢がだいぶ変わりますので、どちらの荷役時の落下を想定するかによっても試験方法が変わります。
自由落下試験(人力での荷扱い時の落下を想定)
➀落下高さ
まず包装材全体の重量によって6段階に分けられており、そのうちの1段階の中も負荷のかかりやすさで4つのレベルに分けられています。その中から一つを選んで落下高さを決定します。
②落下部位
包装材が直方体の場合、包装材の角(三つの面が交差する点)と稜(二つの面が交差する線分)と面が地面に当たるように落とします。面は全ての面を落下させますが、角と稜は任意の箇所を選定します。
③落下回数
落下回数は一つの箇所につき1回です。基本的には角、稜、面の落下試験を全て連続して行い、落下させる順序も決められています。
ただし当事者間の協議で、①②③の基準から外れた独自基準の試験が行われることもよくあります。
片支持りょう落下試験(機械での荷扱い時の落下を想定)
➀落下高さ
まず包装材全体の重量によって3段階に分けられており、そのうちの1段階の中も負荷のかかりやすさで4つのレベルに分けられています。その中から一つを選んで落下高さを決定します。
②落下部位
包装材が直方体の場合、落下部位は稜のみです。反対側の稜を台の上に当たるように傾けて置き、落下させる稜が地面に当たるように落とします。稜は任意の箇所を2か所選定します。
③落下回数
落下回数は、稜1か所につき2回、2か所を落とすので計4回です。
ただし当事者間の協議で、①②③の基準から外れた独自基準の試験が行われることもよくあります。
判定基準
落下試験の合否判定基準には以下のようなものがあります。
・内容物の外観に変形、キズなどが無いか。
・内容物が機械などの場合、正しく作動するか。
・内容物に取り付けたセンサー等で観測されたG値(衝撃加速度)が基準値内におさまっているか。
主にこちらの3点になります。
特に段ボール製包装材の場合は落下したときに変形して内容物を保護するので、箱が変形しないことというのは合否判定基準に入れることはできません。
当社では開発した包装材について、必要な場合には落下試験も実施しながら品質確認を行っております。落下試験のより詳しい内容についてお聞きになられたい場合は当社までお問い合わせください。