包装試験に関するJIS規格の改正について
2023年1月20日に包装貨物の性能試験方法、一般通則の規格であるJIS Z0200 が改正されました。
こちらではその内容について説明します。
JIS Z0200 は、主に包装試験の試験基準を定めている規格です。今回は昨今の物流環境の変化に沿った改正がされました。近年の物流の変化とはどのようなものがあるでしょうか。大きなものの一つに、オンライン上で買い物ができるECサイトから宅配業者などによって運ばれる、消費者への直接小口配送荷物の増加があります。
今回の改正は、従来の試験基準にそのような小口配送の場合の基準を追加して、選択肢を増やしたというのが大きなポイントの一つになっています。ほかにも変わったところはありますが、それを踏まえて以下でもう少し詳しく説明します。
振動試験
従来は定められた1種類の試験強度で試験が行われていましたが、今回の改正で試験強度が低く設定された初めのパートと、最後の小口配送を想定した試験強度になっているラストワンマイル想定パートの二つのパートを連続して試験する2段階構成になりました。
全体的には試験時間も短縮され、試験としての負荷は緩和された印象です。ただし悪路輸送という条件も選択可能になっており、そちらは試験時間は短いものの、試験強度は従来よりも高くなっています。それぞれ輸送距離に応じた試験時間が複数設定されており、それらの中から輸送環境に当てはまる条件を選択して試験を行うことになります。
落下試験
従来は包装材の積み替え回数と荷役時にかかる外力の大きさで試験レベルが設定されていました。今回の改正で荷役時にかかる外力の大きさについてはほぼそのままでしたが、積み替え回数については人的荷役の回数のみで、機械荷役の回数は考慮しないというレベル設定の仕方になりました。
ここで決められたレベルごとに重量による落下高さが設定されており、その高さで試験を行うことになります。全体的には軽量物包装では落下高さが従来と同じかやや高くなっており、逆に重量物包装では落下高さが同じかやや低くなっています。
圧縮試験
保証レベルとして、従来よりも保管期間の長い悪条件のレベルが追加されました。そのレベルではより高い負荷係数(安全率)が必要とされることになります。
その他
過酷な気象下での包装材の変化を見る温湿度環境試験と、気圧低下を伴う輸送時の包装材の変化を見る低圧試験の二つの試験が追加されています。
今回の改正で、全体を通じて試験条件の選択肢が増え、より実際の輸送環境に近い試験条件が選べるようになりました。これまで試験に合格するためにオーバースペックとなってしまっていた包装仕様が、より適正包装に近づけることのできる改正になったのではないかと思います。
当社ではこの新しい試験基準と、また状況によっては従来の試験基準も活用し、お客様とご相談しながら、よりよい包装仕様を追求していきたいと思います。
JIS Z0200の詳しい改正内容についてお聞きになられたい場合は当社までお問い合わせください。