段ボール包装材の試験規格について -振動試験-

包装材の振動試験は、トラックなどによる輸送過程で発生する振動によって、内容物や包装材が傷つくことが無いかどうか確認するために行われる試験です。
JIS規格では、試験方法がJIS Z0232に、試験基準がJIS Z0200に記載されています。
試験方法
内容物を入れた包装材を試験機の振動台の上に載せ、規定の加速度や周波数成分を持った振動を加えて試験を行います。実際の固定や積載の状態を模擬した条件で振動台に載せますが、貨物が固定されない可能性がある場合、振動台上に固定せず、連続的に跳ね上がるような試験を追加で行うこともあります。
試験は大きく分けて正弦波対数掃引振動試験とランダム振動試験の2種類がありますが、近年ではほとんどがランダム振動試験で行われるため、ここではランダム振動試験について説明します。
ランダム振動試験
輸送中に発生する振動は一定でなく、さまざまな条件が複雑に絡み合った不規則なものです。この不規則な振動をできる限り再現して試験を行うのがランダム振動試験です。試験を実施するには以下の3項目を定める必要があります。
設定項目
- パワースペクトル密度(PSD)
振動によるダメージを測定するには輸送中に発生した振動をそのまま再現できれば理想的ですが、実際には複雑な振動を試験機で再現することは困難です。そこで輸送中の振動を試験で再現しやすいように要約したパワースペクトル密度(PSD)という指標を用いて試験を行います。PSDとは周波数ごとの振動エネルギーを示すものです。こちらはJISで定められた標準値があるため、基本的にはそれを使用します。 - 振動時間
輸送距離によって3段階のレベルに分類され、それぞれに対応した振動時間が設定されています。
- 振動方向
輸送時の振動は主に路面の凹凸によって発生し、上下方向の振動が中心となります。そのため試験でも基本的に上下方向の振動を再現します。ただし水平方向の振動も無視できないため、必要に応じてお客様と協議し、上下・前後・左右の方向ごとに3回試験を行うこともあります。
判定基準
振動試験の合否判定基準には以下のようなものがあります。
- 内容物の外観に変形、キズなどが無いか
- 内容物が機械などの場合、正しく作動するか
- 包装材のこすれによる紙粉の発生や印刷のカスレなどが無いか
キズの判定などは難しい場合も多く、試験前に撮影した写真と見比べながら合否判定を行うことが一般的です。
当社では開発した包装材について、必要に応じて振動試験も実施しながら品質確認を行っております。振動試験のより詳しい内容についてお聞きになられたい場合は当社までお問い合わせください。