スコープ3のCO2削減に対する「ナビエース」「ナビパレット」

1.トップ企業の2050年カーボンニュートラル目標の取組に関して
2015年に行われた世界各国が集まる地球環境に関する会議COP21にて決定したパリ協定では、2050年までにCO2排出量を実質0にする目標が採択されました。日本でも2020年10月に「2050年カーボンニュートラル宣言」を政府が発表しています。企業の挑戦を後押しする産業政策「グリーン成長戦略」に基づき、企業側の取り組みも、特にグローバルなトップ企業様を中心に近年加速度的に増えてきております。
具体的には企業が製品を生産する工程から、物流や仕入れ等のサプライチェーン全体を含めて各工程をスコープ1.2.3と定め、取り組みを進めております。
出典 資源エネルギー庁、ホームページより
スコープ3に関しては環境省や資源エネルギー庁でレジュメを発行しておりますので、下記URLをご確認下さい。
(出展)資源エネルギー庁「知っておきたいサステナビリティの基礎用語~サプライチェーンの排出量のものさし「スコープ1・2・3」とは」
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/scope123.html
(出典)環境省「サプライチェーン排出量算定の考え方」パンフレット(PDF形式:6.69MB)
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/supply_chain_201711_all.pdf
また、ある会社様では、企業活動全体におけるCO2排出量は、
スコープ1:20%
スコープ2:10%
スコープ3:70%
と、スコープ3に対する割合が他の工程と比較しても極めて大きい数字であり、解決方法が悩みでした。
そこで、我々の強化段ボール「ナビエース」、段ボールパレット「ナビパレット」を使用したスコープ3へのCO2削減へのアプローチ方法をお話させて頂きます。
2.強化段ボール「ナビエース」、段ボールパレット「ナビパレット」とは?
ナビエース(旧社名:中津川包装工業)は、1955年に木箱の段ボール化を目的として創業しました。その中で一般的な段ボールよりも強度が強い強化段ボール「ナビエース」、また、その強度が強い段ボールから作られた段ボールパレット「ナビパレット」を開発し、トップ企業様へ生産供給をさせて頂いております。
その特徴としては、
■強化段ボール「ナビエース」と段ボールパレット「ナビパレット」の特徴
- 通常の段ボールと比べ、1.6倍の強度がある
- 通常の段ボールと同様に、複雑な加工が出来る
- 木材やプラスチックなどの他素材より、軽量である
- 包材は折りたたまれた状態で納品され、組立済みの梱包材よりも省スペース
- 世界的にも段ボール古紙としてリサイクルが可能である
という事が上げられます。
もう少し詳しく知りたい方はナビエース株式会社のホームページの製品案内をご参照下さい
ナビエース株式会社、ホームページ
https://nabiace.co.jp/
ナビエース社特設サイト(イプロス製品案内)
https://premium.ipros.jp/nb-npi/?hub=157+4486904
つまり、従来輸出用などで使用される、燻蒸木パレットや木箱、または、プラスチック製の包材を、強化段ボール「ナビエース」や段ボールパレット「ナビパレット」にする事によって、
①軽量になる
②折りたためる
③リサイクルが可能になる
という環境に対してのメリットが生まれます。
どのようにメリットに繋がるのか、お話していきます。
3.強化段ボール「ナビエース」、段ボールパレット「ナビパレット」とスコープ3のカテゴリー
先ほど説明した通り、スコープ3はサプライチェーン全体のCO2排出量を含み、この中でナビエースのメリットと繋がるのは、
・スコープ3 カテゴリー4(調達物流)
・スコープ3 カテゴリー9(出荷物流)
・スコープ3 カテゴリー12(販売した製品の廃棄)です。
出典 資源エネルギー庁ホームページより
例えば、80kgの木箱をナビエースが段ボール化した場合に、包装材の重量が30kgになるとします。
こうすると、包装材の重量は-50kgになりますが、包装材の重量が軽くなる事で、どのようなメリットがあるのか、スコープ3の観点から見て行きましょう。
4.スコープ3のカテゴリー4(調達物流)に対するナビエース
まずはスコープ3カテゴリー4(調達物流)に関してみて行きましょう。調達物流とはその名の通り、製造工程における原材料調達(直接材や間接材含む)をした際に、供給元から自社へ納品されるまでの物流です。
出典 資源エネルギー庁ホームページの画像を修正して転用
【検討条件】
条件①想定経路:
木箱=A社→お客様X社 約80km
ナビエース=ナビエース社→お客様X社 約100km
条件②包材納品時積載量:
木箱=4t車で10箱
ナビエース=4t車で100箱
※ナビエース包材は折りたためる事で納品可能数量が増える
条件③包装材使用量:月間200台(年間2400台)分
条件④包材重量:
木箱=80kg
ナビエース=30kg
※段ボール化により軽量化
【スコープ3カテゴリー4(調達物流)に対するCO2排出量計算】
木箱の調達時CO2排出量=80kg×10箱×80km×トンキロ法係数×月20回納品×12か月
=年間276.48kg
ナビエースの調達時CO2排出量=30kg×100箱×100km×トンキロ法係数×月2回納品×12か月
=年間12.96kg
つまり包材の使用開始前、納品の段階から年間263.52kgのCO2排出量が削減可能です。
5.スコープ3のカテゴリー9(出荷物流)に対するナビエース
つぎに、スコープ3カテゴリー9(出荷物流)に関して、ナビエースがどのようなアプローチが出来るのかを見て行きましょう。
出荷物流とは、製品を梱包し、目的地まで運搬される物流経路全体をさします。
出典 資源エネルギー庁ホームページの画像を修正して転用
先ほどの条件①~④は引継ぎ、さらに、
【追加検討条件】
条件⑤出荷場所と目的地、輸送手段:
日本からヨーロッパに海上コンテナ(船)で出荷=喜望峰経由で約25000km
条件⑥輸送効率:
木箱=海上コンテナ20入り
ナビエース=海上コンテナ40入り
※包材の厚み自体も少なく、積載効率を意識して設計する事でコンテナ入り数を向上させた
条件⑦内容物製品の重量:製品=300kg
【スコープ3カテゴリー9(出荷物流)に対するCO2排出量計算】
木箱の出荷物流におけるCO2排出量=(木箱80kg+製品300kg)×海上コンテナ20入り×25000km×トンキロ係数×年間120コンテナ出荷
=年間437t
ナビエースの出荷物流におけるCO2排出量=(ナビエース30kg+製品300kg)×海上コンテナ40入り×25000km×トンキロ係数×年間60コンテナ出荷
=年間380t
出荷物流でかかるCO2排出量は57t削減できました。
6.スコープ3のカテゴリー12(販売した製品の廃棄)に対するナビエース
最後に、スコープ3カテゴリー12(販売した製品の廃棄)に関してのナビエースが貢献出来る事を見て行きましょう。
販売された製品は最終的な使用後、リサイクルや廃棄等がなされます。勿論、製品を輸送する為に使用した包装材もリサイクルされたり、廃棄されたりします。
一般的には、海外へ送る為に使用した木材やプラスチック製の包装材は産業廃棄物となり、段ボールは段ボール古紙としてリサイクルされます。
出典 資源エネルギー庁ホームページの画像を修正して転用
【追加検討条件】
条件⑦廃棄方法:
木箱=産業廃棄物で焼却処分
ナビエース=段ボール古紙としてリサイクル
【スコープ3カテゴリー12(販売した製品の廃棄)に対するCO2排出量計算】
木箱=包装材原料の生産から廃棄まで(LCA)のCO2排出量、年間364t
ナビエース=包装材原料の生産から廃棄まで(LCA)のCO2排出量、23kg 年間55t
とこちらは年間309tのCO2排出量が削減が可能です。
※各包装材の生産から廃棄までのCO2排出量は、各業界団体が公表している数字を基に計算しております。
7.まとめ
この様に、
スコープ3カテゴリー4(調達物流)=年間263kg 削減
スコープ3カテゴリー7(出荷物流)=年間57t 削減
スコープ3カテゴリー12(販売した製品の廃棄)=年間309t 削減
スコープ3全体をとらえ、年間366.263tものCO2排出量を削減できます。
この数字を年間に削減するには、どの程度大変か、環境に詳しい方はよくご存じかと思います。
環境に対する取り組みは各企業様によってそれぞれ温度差がある状況ではありますが、グローバルトップ企業と言われる会社様や、東証プライム市場上場企業様などでは、まったなしで取り組みを進めなければならない状況にあるとよく耳にします。
今回紹介させて頂いた事例は全てが効率化出来た極端な例とも言えますが、このような事例は弊社の取り組みの中ではよくあります。
例えば、今使っている燻蒸木パレットやワンウェイ運用のプラスチックパレットを、段ボールパレット「ナビパレット」にしてみるだけで、上記の様な大きな効果が得られた事例も沢山あります。
太陽光パネルを設置する事、機械設備の投資をする事に比べたら、圧倒的に取り組み易いCO2排出量の削減方法です。
貴社も、同様の結果が得られるかもしれません。
興味を持たれた方は、是非当社にお問い合わせください。