段ボール包装材の試験規格について -圧縮試験-
包装材の圧縮試験は、内容物を梱包した包装材を段積みしての輸送中や保管中に、上からの荷重による包装材の変形や荷崩れ、内容物の破損がおきないかどうかを確認するために行われる試験です。
包装材の試験としては、この圧縮試験が最も重要な試験であると考えています。包装材の圧縮強度が不足していて荷崩れを起こしてしまったとき、多くの場合はその周囲に置かれているものにもダメージを与えることになります。
また最悪の場合には作業者がケガをしてしまうこともあり得ます。包装材の荷崩れがおきることの無いように、圧縮試験は特に慎重に合否判定をする必要があります。
包装材を段積みした場合、基本的には最下段の包装材に最も大きな負荷がかかることになります。その包装材にかかる負荷は、上に積み上げられた包装材と、間にパレットなどをはさんでいる場合にはその重量分も加算した総重量になります。
ただ、試験時に包装材にかける荷重はこの総重量でいいかと言うとそうではありません。段ボールは特に様々な要因により強度低下がおこるため、総重量に負荷係数*をかけた数値を試験時の荷重とする必要があります。JIS Z0200に表がありますので、そちらも参考にしながら負荷係数を決定します。最下段にかかる総重量に負荷係数をかけたときの荷重を必要強度として試験を行います。
(JISでは負荷係数と記載していますが、安全率という呼び方のほうが一般的です)
試験方法
試験方法として、内容物を入れた状態で圧縮する試験方法と、内容物を入れない空容器で圧縮する試験方法の2種類があります。内容物を入れた状態での試験は荷崩れというよりも内容物の損傷を見るという意味合いが大きいことと、試験のたびに内容物を用意するのが難しいことから、ほとんどの場合において空容器で圧縮する試験方法をとっています。
上記で定めた方法の包装材を圧縮試験機の中央に置き、一定の速度で圧縮することで試験を行います。ただし、フラップの反発などの個体差を極力除くために、測定の起点は一定の初期荷重を加えた時点としています。
判定基準
試験時には、必要強度に達した時点での圧縮量と包装材の変形度合い、包装材が完全に変形した時点での最大荷重、内容物を入れた状態で試験をした場合には決められた時点での内容物の損傷状態などを確認します。合否判定はこれらの情報を総合的に判断して決めることになります。
当社では開発した包装材について強度計算を行い、必要な場合には圧縮試験も実施しながら品質確認を行っております。圧縮試験のより詳しい内容についてお聞きになられたい場合は当社までお問い合わせください。